京野菜が世界を魅了

京野菜等の世界ブランド化目指す 英・ハンプトンコート宮殿で晩餐会

約300人が参加した晩餐会
▲ 約300人が参加した晩餐会

 JAグループ京都は7月18日、イギリス・ロンドンのハンプトンコート宮殿で大晩餐会を開催し、日・英両国の政府関係者やJAグループ関係者、生産者など約300人が参加した。
 これまで、JAグループ京都は京野菜をはじめとする京都府内産農畜産物のブランド力強化に向けて様々な取り組みを進めてきた。平成元年からは、国内対策として首都圏の百貨店等での販促イベントやホテル・飲食店等への売り込み等に精力的に取り組んでいる。さらに、輸出を見据えた国外対策として、平成25年に京野菜世界ブランド化プロジェクトを始動した。同年にフランス・ベルサイユ宮殿に京野菜を持ち込み、政府関係者等を招いた大晩餐会を開催したことを皮切りに、以降トルコ、中国、ロシアと毎年各国の由緒ある宮殿等で晩餐会を開催してきた。
 5回目となる今回は晩餐会に加え、ロンドン市内のJA全農直営レストラン「TOKIMEITE(トキメイテ)」で、各JA組合長など生産者代表とイギリスの流通事業者を招き、京野菜等を試食してもらいながらイギリス国内の食材流通事情や京野菜・京の肉の可能性などについて、幅広い意見交換を行った。さらに、調理の実演をまじえた食材提案会も行ったほか、8月にはロンドン市内レストランで市民に日本食・日本産食材の魅力をPRする「日本食フェア」を開く予定。
 今回持ち込んだのは賀茂なす・九条ねぎなどの京野菜8品目のほか、宇治茶、京の肉など。シェフには美濃吉本店竹茂楼の佐竹洋治調理総支配人を起用し、京野菜の魅力を最大限に引き出した料理で参加者たちを魅了した。参加者からは「京野菜の繊細な味と美しさは感動の一言。輸出された暁には、また味わいたい」と絶賛する声があがった。
 JA京都中央会の中川泰宏会長は「今回の事業で参加者から大変高い評価を得ることが出来たのは、努力に裏打ちされた生産者の高い栽培技術の賜物。我々JAグループは『攻めの農業』の実践として、世界中に安全・安心・高品質なこの素晴らしい食材を売り込み、農業者の所得向上に努めなければならない。今後一層、輸出に向けた取り組みを進めていく」と力強く語った。


 ロンドンで開催した「京野菜等世界ブランド化プロジェクト」の概要は次のとおり。同事業の模様については、8・9頁「アイキャッチ」に掲載している。

◆ハンプトンコート宮殿での晩餐会の実施

大盛況の晩餐会
▲ 大盛況の晩餐会

 イギリス・ロンドンのハンプトンコート宮殿で京野菜等を使用した大晩餐会を開催し、両国合わせて約300人が参加した。日本からは元農林水産大臣の西川公也衆議院議員や飯島勲内閣官房参与、在アゼルバイジャン日本国大使館の香取照幸特命全権大使など政府関係者らのほか、京野菜等の生産者、マスコミ、JAグループ関係者などが出席。イギリスからは上院議員や企業経営者といった政・財界の有力者をはじめ料理関係者、マスコミなど幅広い層が参加した。
 この晩餐会事業は、平成25年にフランス・ベルサイユ宮殿で行ったのが初めて。取り組みの趣旨は、貿易・輸出の拡大に向け国が様々な取り組みを進める中、ブランド品としての地位を国内で確立した「京野菜」を世界に売り出していきたい、というものだ。京野菜・宇治茶などの歴史と伝統ある食材の重みを受け止め、さらにブランド力を強化していくために、場所やシチュエーションにもこだわり、毎年各国の歴史ある宮殿等を借りて実施している。
 開会挨拶で、JA京都中央会の中川泰宏会長は「京野菜は日本の古都・京都で作られた伝統ある野菜。本日は安全・安心で高品質な食材を、日本料理の技術の粋を凝らして提供するので、その魅力を存分に味わってもらいたい」と京都府産農畜産物の魅力をアピール。また、先般大枠合意した日EU・EPAを踏まえ、西川議員は「日本の農産物をEU諸国に輸出できる未来が見えた。この会は、日本の農産品を世界のブランドにしよう、そして京都の野菜を先頭に日本の野菜を知ってもらおうと開催されたものである」と晩餐会の意義と今後の展開への期待を語った。
 晩餐会では美濃吉・竹茂楼の佐竹洋治調理総支配人が腕を振るった。今回は、使用する食材や調理方法などを全て日本のもので統一したことが特徴。参加者は「九条ねぎ」の厚焼き玉子や「賀茂なす」の含め煮、京都府産ブランド牛「京の肉」を使ったローストビーフ、宇治茶フォンデュなどに舌鼓を打った。
 参加者からの評価は上々で、ロンドンで1番の和食フュージョンレストランと名高い「Zuma」のエグゼクティブシェフ、マルコ・カレンゾォさんは「ポテトサラダ1つをとっても、ジャガイモを出汁で炊くという発想が素晴らしい。出てくる料理はどれもおいしく、極めて高品質な食材と際立った技術が見事に融合していた。京都の食材と日本料理の技術に一層興味がわいた」と絶賛した。
 一方、イギリスを訪れた生産者からも様々な声があがった。京都市内の生産農家でJA京都中央会の理事も務める青山裕司さんは「ロンドン市内でも宇治茶や和牛が販売されていると聞いた。ロンドンにも販売先ができれば生産者の可能性が一層広がる」と京都府産農畜産物の輸出拡大に期待を寄せる。また、自らも宇治茶の製造・販売を行うJA京都やましろの吉田利一副組合長理事は「英国では日本式の茶の飲み方がまだまだ浸透していないが、やり方次第ではもっと宇治茶を飲んでもらえると感じている。茶業関係者からも飲み方のPRなどを行い、積極的な取り組みを進めなければならない」と気を引き締めていた。

   

◆流通業者との意見交換会の実施

イギリスへの輸出の可能性を探る
▲ イギリスへの輸出の可能性を探る

 ロンドン市内のJA全農直営レストラン「TOKIMEITE(トキメイテ)」で府内JA組合長ら生産者代表と食材流通事業者の意見交換会を行った。
 イギリスの食材流通事情の調査と輸出に向けた可能性を探ることが目的。京野菜等の食材を使った料理を試食しながら様々な意見を交換した。
 参加者は「イギリスは物価が高いため、『どうせなら良いものを』という消費者が多いようだ。ブランド力と品質で勝負する京野菜にはもってこいの市場だと感じている」と輸出に意欲を見せた。

   

◆日本産食材提案会の実施

日本産食材の魅力を伝える
▲ 日本産食材の魅力を伝える

 同レストランでは、日本の食材に興味を持ってもらう「日本産食材提案会」も開催した。日本産食材を扱う英国の流通業者や食品関係の記事を執筆する有名ブロガーなど23人を招いた。
 晩餐会でもシェフを務めた佐竹氏が京野菜などを使って参加者の前で調理を披露し、日本食材の魅力をアピールした。日本産農畜産物を使いたいというファン作りを通じ、日英両国の食品流通活性化につなげることを目的とするもので、京野菜や宇治茶などを重点的に提案した。
 調理の実演では、日本料理の基本となる昆布とかつお節の出汁作りを実演したほか、「伏見とうがらし」を使った和牛大和煮、「賀茂なす」と「九条ねぎ」が入った和牛料理などを披露した。参加者は佐竹シェフの調理法を食い入るように見ていたほか、「京料理と日本料理の違いは何か」、「現在の懐石料理と昔の懐石料理ではどう違うのか」など熱心に質問していた。
 佐竹シェフは「日本食・日本の食材が注目されることはわれわれ料理人にとっても大変嬉しいこと。正しい和食の知識を広め、日本の食材を使ってもらうために一層精進したい」と話した。

   

◆今後の展望

 今年で5年連続5回目を迎える京野菜等の世界ブランド化に向けた取り組み。ロンドンでの事業を終え、中川会長は「当初、京都のみで始めたこの事業は各国で大成功を収め、いまや政府の重鎮も参加する一大イベントとなった。日EU・EPAの大筋合意を受け、安価な乳製品等が国内に入ってくるという危機感が先行しているが、逆にブランド力の高い農産物にとっては輸出のチャンスである。今後も継続してこの取り組みを進め、京都府産農畜産物のブランド力強化と輸出を通じた販路拡大・農業所得の増大を図っていく」と話した。
 今後もJAグループ京都は同事業を通じ、輸出を見据えた世界ブランド化の取り組みを進めていく。来年はキリスト教の聖地・バチカン市国での開催を検討している。

 
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