平成27年4月1日より、JAグループ京都が取り組む新規事業「農業経営管理支援事業」がJA京都とJA京都にのくにで始動した。同事業は担い手の経営安定化とJAの組織・事業基盤の強化を目的とするもので、「記帳代行サービス」と「経営分析・診断サービス」を通じて、担い手の経営実態を踏まえた総合的な事業支援を行う取り組みとなっている。
 記帳代行はJAグループ内の自動仕訳システムの活用や必要となる書類を持ち込んでもらうことで利用者に代わってJA系統内外の取引データを記帳入力するもの。利用者の会計・税務申告に係る事務作業の軽減とともに、取引データの集約により、担い手の経営実態を正確に把握することが可能となる。
 一方、経営分析・診断では、記帳代行により蓄積された担い手の経営データを基に、経営成績の年度比較や平均的な同種の経営体との比較などの分析・診断結果を提供することで経営指導を行う。これに加えて、府域・JA域での決算・申告データの分析により、地域の農業の実態や生産力を把握することも可能となる。
 同事業については、平成18年の「第24回全国JA大会」で重要課題の一つとしての取り組むことを決議して以来、全国的に取り組まれている。確定申告支援を実施しているJAは全国で555JA(平成25年4月時点)。そのうち、記帳代行サービスを実施しているJA数は288JA、決算書や生産販売等のデータに基づく経営指導を実施しているJA数は137JAとなっている。
 JAグループ京都においては、担い手経営体の会計・税務が高度化する中、JAによる農業経営管理指導への要請に応えるため、一昨年より同事業の導入に向けた協議を開始。平成26年度中には検討会を設置し、先進県視察などを実施するとともに、「農業経営管理支援システム」の開発に取り組んだ。また、昨年7月に開かれた理事会で同システムの導入を決定した。
 本府における同事業の特徴は生産者の情報データを府域で集約。一元管理する方式で進める点にある。この方式を採用することで個々のJAで実施する場合と比べて、経営分析・診断の基礎となる担い手の経営データ数が大きくなり、経営診断の信頼性が高まることとなる。
 JAグループ京都では、今後さらに同事業の取り組みを進め、より効果的な事業の運用を目指すとともに、未導入のJAにおいても順次導入を進め、最終的には府内全JAで取り組むこととしている。

 
 JAグループ京都が取り組む「農業経営管理支援事業」の概要は次の通り。

◇事業の内容

○記帳代行サービス
 JAでの取引データをシステムに取り込んで自動仕訳を行い、決算書等の経営データを作成・提供する。またJA系統外の取引については、定期的に利用者に出納帳等の必要書類を提出してもらい、システムに直接入力する。
 利用者の会計・税務負担の軽減とともに、利用者の仕訳・決算データがJAに蓄積されることで、JA各事業への活用、組合員との関係強化を通じた事業利用量の維持・拡大、組織基盤の強化等の効果が期待される。
 また、利用者が持ち込む必要書類のデータ入力等については、本府では電算センターを介して府域で情報を集約・一元管理する方式で進めるため、JA職員の入力事務負担は軽減される。

○経営分析・診断サービス
 記帳代行により蓄積された経営データや「JA取引データ」に基づき、経営成績の年度比較や他の経営体との比較など、経営分析・診断結果の作成・提供を通じて担い手経営体への経営指導を行う。自己の経営概況を理解することによる経営者意識の醸成、他経営体等との比較による改善意欲の喚起などの機能発揮が期待できる。
 また、年度中の損益の進捗確認も可能になることから、年度計画と現状を経営面から比較・分析することで、必要に応じて農家への素早い個別支援が可能となり、農家経営のモニタリング機能も発揮することができるほか、分析・診断のフィードバックや個別面談等を通じてJAと農家間の経営についての信頼関係が醸成されることとなる。


◇JA事業への具体的な波及効果例

○営農・経営指導
 経営分析・診断サービスで提供する経営診断書を基に、肥料や農薬の施用状況などを把握することで栽培技術・経営指導等に活用することが可能となる。また、データやその加工帳票を利用した補助事業対応やJAの農業振興計画・産地強化計画などの策定時の基礎資料に活用することもできる。

○信用事業
 税務申告における公共料金や租税の一部経費化の適用などにおいて、引落口座がJAであればその取引は自動仕訳によって記帳され、出納帳への記載の手間が省ける。他の金融機関にも引落口座がある場合、JA口座への誘導を行うことで貯金量の増加、JA口座のメインバンク化などの効果などが期待できる。また、無担保融資等貸付の際の審査資料あるいは経営・生活データに基づいたローン推進などに活用することもできる。

○経済事業
 経営分析・診断において、農業経営管理支援対象者にのみ、JAへの出荷状況を等級や階級などの分類ごとに出荷量・平均単価などを比較して分析・提供することで、自己の販売状況に対して強い関心を抱く生産者にJA利用の間接的な意識付けが可能となる。また、作付品目選定指導や生産・販売計画の積み上げ基礎資料、あるいはJAの販売促進などにも活用できる。

○共済事業
 農業経営管理支援事業を通じて、担い手経営体の収支状況や家族構成などをより的確に把握することが可能となるため、担い手のニーズに基づいたより計画的な商品提案が可能となる。また、経済事業と同様に、JA利用への間接的な意識付けを行うことができる。


◇組合員の利用効果

○事務負担の軽減
 煩雑な日常の帳簿記帳・経理事務などの作業をJAがシステムを活用して行うことで、農業生産に専念することができる。また、税制改正などにも速やかに、かつ正確に対応することができる。

○節税効果等
 出納帳などの必要となる各種帳票を提出するだけで、青色申告による特別控除(最高65万円)の適用により、所得税・住民税・国民健康保険料等の節税を図ることができる。

○経営の見直し
 経営分析・診断により、経営の年度比較や他経営体との比較を行うことで、客観的に経営を見直すことができる。


 
 
 
 
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