政府は3月31日、「新たな食料・農業・農村基本計画(以下、基本計画)」を閣議決定した。「農林水産業・地域の活力創造プラン(平成25年12月決定)」等で示された施策の方向性などを踏まえ見直されたもの。農業や食品産業の成長産業化を促進する「産業政策」と、多面的機能の維持・発揮を促進する「地域政策」を車の両輪と位置付けた。
 同基本計画は今後10年程度先までの食料・農業・農村に関する各種施策の基本となる農政の中長期的ビジョン。「食料・農業・農村基本法」に基づき策定され、情勢の変化や施策の効果等を踏まえて5年ごとに見直されている。
 今回の見直しでは、食料・農業・農村施策の改革を着実に推進することを基本視点に@食料の安定供給の確保A農業の持続的な発展B農村の振興C東日本大震災からの復旧・復興D団体の再編整備、の5つを項目立て、講ずべき施策を設定。併せて農業構造や農業経営の展望など、講ずべき施策に関連する事項についても設定している。
 また、食料自給率の目標については実現可能性を重視。計画期間の最終年度にあたる平成37年度でのカロリーベース食料自給率目標を45%(平成25年度値39%)、生産額ベースでは73%(同65%)としている。併せて、「食料自給力指標」を初めて公表。国内における食料の潜在生産能力を評価することで、食料安全保障への国民議論の深化と食料の安定供給の確保に向けた取り組みの促進を目指す。
 同基本計画の閣議決定にあたり、林芳正農林水産大臣は「新たな基本計画の下で、『強い農業』と『美しく活力ある農村』の実現に向け、全力で取り組んでいく」旨の談話を発表している。



 
新たな食料・農業・農村基本計画の概要等は次のとおり(要約・抜粋)

【食料・農業及び農村に関し総合的かつ計画的に講ずべき施策】

◎食料の安定供給の確保
○食品の安全確保と、食品に対する消費者の信頼の確保に向けた取り組みを推進する。
○食育の推進と国産農産物の消費拡大および「和食」の保護・継承を推進する。
○農業や食品産業が、消費者ニーズへの的確な対応や新たな需要の取り込み等を通じて健全に発展するため、6次産業化や農林水産物・食品の輸出、食品産業の海外展開等を促進する。
○食料の安定供給に係る様々なリスクに対応するため、総合的な食料安全保障を確立する。

◎農業の持続的な発展
○力強く持続可能な農業構造の実現に向けた担い手の育成・確保、経営所得安定対策の着実な推進に取り組む。
○女性農業者が能力を最大限発揮できる環境を整備する。
○農地中間管理機構のフル稼働による担い手への農地集積・集約化と農地の確保に取り組む。
○構造改革の加速化や国土強靭化に資する農業生産基盤を整備する。
○米政策改革の着実な推進、飼料用米等の戦略作物の生産拡大、農業の生産・流通現場の技術革新等の実現に取り組む。
○気候変動への対応等を推進する。

◎農村の振興
○多面的機能支払制度、中山間地域等直接支払制度の着実な推進や鳥獣被害への対応強化に取り組む。
○高齢化や人口減少の進行を踏まえ、「集約とネットワーク化」など地方創生に向けた取り組みを強化する。
○都市農村交流、多様な人材の都市から農村への移住・定住等を促進する。

◎東日本大震災からの復旧・復興
○農地や農業用施設等の着実な復旧等を推進する。
○食品の安全を確保する取組みや風評被害の払拭に向けた取り組み等を推進する。

◎団体の再編整備
○農協改革や農業委員改革を実施する。
○農業共済団体、土地改良区の在り方について、関連制度の在り方を検討する中で、検討する。


 

【その他食料、農業及び農村に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項】

◎農業構造の展望
○「認定農業者」、「認定新規就農者」および「集落営農」を「担い手」と明確に位置付け=図表2、これらの経営体については経営所得安定対策などをはじめとする各種施策により効率的かつ安定的な農業経営となることを支援する。
○担い手への農地集積を進め、今後10年間で全農地利用面積の8割が担い手によって利用される農地構造の確立を目指す。

◎農業経営等の展望
○各地域の担い手となる「効率的かつ安定的な農業経営」の姿を主な営農類型・地域について「農業経営モデル」として具体的に例示することで所得増大に向けた経営発展の姿を示す。
○地域農業の発展と関連産業と連携した6次産業化等の事業展開を通じ、雇用・所得が創出され、地域として農業所得と関連所得の合計が増大する姿をイメージできる「地域戦略」を例示する。

◎農地の見通しと確保=図表3

◎農林水産研究基本計画
○農業・農村の所得増大に向け、生産現場等が直面する課題の速やかな解決に向けた研究開発に取り組む。
○地球温暖化や少子高齢化に伴う消費動向の変化への対応等、中長期的な戦略の下で着実に推進すべき研究開発に取り組む。

◎魅力ある農山漁村づくりに向けて

 
 
 
 
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