JAグループ京都は5月18日、一般社団法人「JAグループ京都有害鳥獣対策本部」の設立総会を開催した。総会では27年度計画などを協議。今後、グループを挙げて有害鳥獣被害の撲滅に取り組んでいくこととなる。
 有害鳥獣による農産物被害に対して法人を設立し、組織的に取り組むのはJAグループ内でも京都府が初。
 近年では、有害鳥獣による農産物被害は大きな問題となっており、生産者の営農意欲を著しく減退させている。京都府の調査では、平成26年度における府内の農産物への有害鳥獣被害額は約3億8000万円となっているものの、依然として大きな被害が出ている。加えて、有害鳥獣の捕獲を行う狩猟者は高齢化が進み、年々減少傾向にあることから、狩猟の担い手不足も課題となっている。
 このような状況を受け、JAグループ京都では平成26年度よりJA役職員等による狩猟免許資格取得に向けた取り組みを進めている。今年1月には、網猟・わな猟の狩猟免許試験に62人の役職員等が合格している。
 同対策本部では、設立初年度となる今年度は、有資格者のさらなる養成に向け資格試験への受験を進めていく。今年度はわな猟で200人、銃猟で40人の有資格者の確保を目標とし、平成31年度末までの5年間でわな猟1000人、銃猟200人の取得を目指す。そのほか、JA役職員による有害鳥獣の捕獲や「有害鳥獣捕獲員」への任命に向けた行政への働きかけ、各JAでの支部の設置、会員の拡大などに取り組むこととした。
 同対策本部の会長を務めるJA京都中央会の中川泰宏会長は「農業者の生産意欲の向上や地域農業振興に加え、組合員も含めた地域全体への貢献という観点からもJAグループが有害鳥獣対策に取り組む意義は大きい。少しでも被害の軽減につながるよう、全力で取り組んでいく」と語った。


 
 狩猟を取り巻く現状とJAグループ京都有害鳥獣対策本部の取り組みについては次のとおり。

◆狩猟を取り巻く現状

◎狩猟制度の概要
 鳥獣保護法の定義によると狩猟は、「法定猟法により、狩猟鳥獣の捕獲等をする」こと。狩猟鳥獣以外の鳥獣の狩猟は禁じられている。
 狩猟を行うためには、狩猟免許を取得した上で、狩猟をしようとする都道府県に狩猟者登録を行い、狩猟ができる区域・期間・猟法など、法令で定められた制限を遵守する必要がある。
 狩猟免許には「網猟免許」、「わな猟免許」、「第1種銃猟免許」、「第2種銃猟免許」の4つがあり、免許取得後、あらかじめ都道府県に登録し、一定の狩猟税を支払うことが必要となる。
 また、平成27年度の京都府における狩猟期間は平成27年11月15日〜翌年2月15日(シカ・イノシシについては3月15日まで)となっている。

◎有害鳥獣対策の現状
 全国的な有害鳥獣による農作物被害額は1999年以降、年間200億円前後で推移しており、理由は@動物の生息域の拡大A狩猟者の減少B耕作放棄地の増加、などとなっている。特に狩猟者の減少については、狩猟者の高齢化等により、1975〜2012年で狩猟免許所持者が30万人減少しており、歯止めがかからない状況といえる。

◆有害鳥獣対策に向けた法改正

◎鳥獣保護法の改正
 国は、平成26年、農水省と環境省が「ニホンジカ・イノシシの生息数を10年後までに半減する」という目標を掲げ、その実現に向けて「鳥獣の管理」(増加しすぎた鳥獣を適正に減らすこと)を位置づけ、積極的な個体群管理を行うために、都道府県等が捕獲を行う事業(指定管理鳥獣捕獲等事業)等を創設のうえ法改正を行い、本年5月29日から「鳥獣保護管理法」として施行されている。6月からは、改正法の本格的な運用が始まることとなる。
 改正前は、鳥獣の捕獲については、趣味や資源利用として捕獲を行う狩猟者が中心であり、狩猟とは、鳥獣の営みを理解し、感謝しながら捕獲を行う自然と人との本来の関わり方の一つとされていた。その結果、これら狩猟者が、鳥獣の保護及び管理において重要な役割を果たしてきていた。
 今回の法改正では、捕獲対策を強化する必要性が明記され、市町村と都道府県が連携して捕獲に取り組むことを打ち出し、通信技術を活用したわななど捕獲技術の高度化も図ることとした。
 また、鳥獣被害対策として、実施隊の設置を促進する。設置に必要な人員の確保に向けては、市町村単位で十分な体制が確保されない場合は、国や都道府県も連携して他の地域から人材の融通を図ることも明記されている。
 このような中で、市町村やJAの職員が率先して狩猟者になるよう求める声も上がっていた。

◎狩猟税に係る税制改正
 平成27年度税制改正大綱では、鳥獣被害対策の推進を目的として、狩猟税の減免措置(平成30年度末までの時限措置)を講ずることとした。
 鳥獣保護法に基づく有害鳥獣捕獲許可を有する者については狩猟税の半額を免除。また、※鳥獣被害防止特措法に基づき市町村から任命されて捕獲を行う「対象鳥獣捕獲員」については全額が免除される=図1

※ 鳥獣被害防止特措法=市町村が行う鳥獣被害防止に向けた取り組みを国が支援することを定めたもの。

図1 平成27年度税制改正大綱に示された狩猟税の税制改正(平成31年3月31日までの時限措置)




◆JAグループ京都有害鳥獣対策本部の取り組み

◎JA役職員による狩猟免許資格の取得
 京都府と連携して、引き続きわな猟免許の資格試験に向け、役職員の受験を進めていくとともに、銃猟免許の取得に向けた資格試験の受験・銃刀法による銃の所持許可取得などに取り組む。
 また、わな猟については資格試験の合格に向け、同法人の有資格者を講師とした事前講習会を開催する。

◎有害鳥獣の捕獲
 各地域での人員配置や檻わなの設置場所などを決定する府域全体での「有害鳥獣捕獲計画」を策定し、それに基づいた捕獲活動を実施する。

◎有害鳥獣捕獲員への任命に向けた行政への働きかけ
 有害鳥獣の捕獲にあたっては、年間活動が可能な「有害鳥獣捕獲員」に市町村より任命されることが必要となる。市町村によっては猟友会に所属していることが要件となる場合もあるため、同対策本部をJAグループの狩猟団体と位置づけたうえで、会員が捕獲員に任命されるよう、京都府と連携し、各市町村への働きかけを進めていくこととしている。

◎支部の設置
 有害鳥獣捕獲に向けた取り組みは、これまでから各市町村が主体として取り組まれてきた経過にある。今回のJAグループでの取り組みを円滑に進めるためにも市町村をはじめ猟友会等との連携が極めて重要となっている。
 同対策本部でもJAごとに支部を設置し、各市町村・関係団体と連携し、JA管内での有害鳥獣捕獲計画の策定と捕獲活動に取り組む。
 また、支部会員の狩猟税や保険料の負担などを行うこととしている。

◎組織拡充対策
 府内各地での有害鳥獣捕獲に取り組むため、一層の会員拡大に取り組む。
 具体的には、今年度にわな猟で200人、銃猟で40人、平成31年度末までの5年間でわな猟1000人、銃猟200人の資格取得を目指し、会員への加入を促進する。

 
 
 
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