平成28年度京都府農林水産予算案の概要

強い京都府農業の確立へ力点 前年比約9%の大幅増

 京都府は2月10日、平成28年度当初予算案を発表した。2月議会での審議を経て確定する。28年度予算については、27年度予算と同様、国の経済対策を踏まえ27年度2月補正予算と併せた14か月予算として編成された。14か月ベースでみると、一般会計総額は9756億5800万円(対前年比100.8%)、うち農林水産関係予算は237億4800万円(対前年比108.9%)と大きく増額された。予算総額に占める割合は2.4%と前年より0.1%増加した。

 農林水産関係事業としては、マーケットイン型の生産体制をはじめ農林業の構造改革を目指す「京の農林水産業イノベーション事業」を新たに設立し、重点的に予算を配分した。1.生産・流通戦略2.販売戦略3.人材戦略4.林業「森世紀」創造戦略―の4つを柱に強い農林水産業づくりを目指す。同事業内に措置する外食産業等のニーズに基づく生産流通体制の確立支援事業「京都農業経営強化事業」や担い手への農地集積の加速を目指す「農地集積規模拡大支援事業」などが目玉。

 JAグループ京都が京都府への重点要請事項としていた有害鳥獣対策については、「有害鳥獣被害半減総合対策事業」を設立した。有害鳥獣の防除.捕獲対策を強化するほか、新たな担い手確保に向けた支援措置などを盛り込んだ。そのほか、特色ある京都米の産地づくりを目指した「京の輝き・こだわり京都米づくり応援事業」や小・中学校での食農教育事業を通じた京野菜の需要喚起などを図る「京野菜スクールガーデン事業」、移住者の営農活動や再生作業の支援を通じた耕作放棄地の再生・活用を支援する「耕作放棄地再生推進事業」などに取り組む。

 平成28年度は、農業を軸にJAが地域社会で果たすべき多様な役割を再確認した第27回JA京都府大会決議「元気な京都農業と豊かな地域社会の実現」の実践初年度となる。JAグループ京都では、京都府の予算・政策を積極的に活用しつつ決議事項の確実な実践に向け、運動に取り組んでいく。

京都府農林水産関係予算の推移

京都府農林水産関係予算の推移
作成:JA京都中央会

 平成28年度京都府農林水産関係当初予算案(27年度2月補正予算含む)の概要は次のとおり(要約・抜粋)。
 【 】内は予算額で2月補正を含む、一万円未満切り捨て

◆京の農林水産業イノベー.ション事業費【31億8149万円】
 グローバル化や人口減少など、農林水産業を取り巻く環境が変化する中で、海外展開や事業拡大、生産性の向上等を推進し、強い農林水産業を実現する総合的な施策を展開する。生産・流通面ではマーケットイン(需要対応型生産)によるニーズを捉えた生産体制の確立を、また販売面では府内・首都圏・海外への府内産農林水産物のPRを通じた需要・消費の拡大を目指すほか、高度な経営感覚を持つ農企業者の育成を通じた農業の体質強化を図る人材戦略にも取り組む。

○農地集積規模拡大支援事業費【2億7861万円】
 農地中間管理機構による農業経営の規模拡大や農用地の集団化、新規参入の促進等により、担い手ニーズに対応した農地の集積を加速する。
 「農地中間管理機構事業」では、農地の中間受け皿となる同機構が借受農地の保全管理や現地調査、担い手へのマッチング等を行うほか、地元調整や貸出農地の掘り起こしを担う「集積仕掛人」を全市町村に配置し、農地集積の加速を図る。
 また、「機構集積協力金交付事業」では、京力農場プランに基づいて同機構にまとまった農地の貸付を行った地域と同機構への貸付に伴い離農あるいは経営転換する者に対しての協力金を交付する。そのほか、「担い手確保・経営強化資金」として農地集積により経営規模拡大の意欲のある農業者に対し、農業用機械・施設等の導入を支援する。

○京都農業経営強化事業費【2億860万円】
 外食産業等の企業ニーズと生産者を結びつけることを通じ、マーケットイン(需要対応型生産)による儲かる農業を実現する。
 販売対策として、「地理的表示保護制度(GI制度)取得促進事業費」を措置し、生産者団体が行うGI登録を支援する。また、マッチング対策としては「マーケットイン型農業づくり事業」により、外食産業と生産者の結びつけを支援する。
 そのほか、生産・流通対策として生産者の加工用設備等の整備・導入や農業法人等のネットワーク構築を支援する「生産・流通イノベーション事業」、ICT活用による農畜産物の生産管理の高度化を図る「京のICT農業プロジェクト事業費」等を盛り込む。

表1 京の農林水産業イノベーション事業費内の農畜産業関連事業
(本文内で紹介した事業を除く)

(単位:千円)

事  業  名 予算額 事 業 概 要
3万農家総元気づくり事業費 22,600 多様な担い手の確保や兼業農家の営農継続に向けた伴走支援に より、生産者の多様なニーズに対応する。
京力農場づくり事業費 12,500 集落営農組織等の様々な取り組みを支援し、力強い農業構造への転換を図る。
京都6次産業プロジェクト戦略事業費 49,900 産地と連携した新商品開発や「京野菜ランド」の販売力強化等 6次産業化の取り組みを支援する。
畜産・酪農収益力強化事業費 29,310 府内産牛肉の高品質化と飼料コストの低減を図り、畜産・酪農経営の収益力を強化する。
「おいしい京都」府内戦略事業費 34,795 きめ細やかな消費拡大策を通じた農林水産物の販売戦略を実施する。
「おいしい京都」首都圏戦略事業費 14,500 メディア等の発信力が高い首都圏での京野菜等の需要拡大策を実施する。
「おいしい京都」世界戦略事業費 3,000 京都の食材や産地への関心を高め、外国人需要の取り込みと輸出拡大に向けた好循環を確立し、農村地域の所得を拡大する。
丹後10次産業化拠点づくり事業費 43,000 丹後王国「食のみやこ」を中心に食人材の育成・観光地としての 魅力の増大・農ビジネスの推進等を実施する。
京都次世代育成学舎事業費 96,960 府内の高等教育機関や試験研究機関等が一体となって農林水産業を支える次代の担い手を育成する。
農林女子の活躍支援事業費 15,000 農林業に従事する「農林女子」を重要な担い手と位置づけ、職場環境の整備や女性向けの機能性商品の開発等を進める。
作成:JA京都中央会

○京都農人材育成総合対策事業費【5億3758万円】
 行政・JA等で構成する「京都農人材育成センター」を設置し、「京の農業応援隊(農業改良普及センターなど)」による技術研修や経営研修を実施することで高度な経営感覚を持つ農人材の育成に取り組む。「京都農人材育成センター事業」では、人材確保事業として従来からの農林水産業ジョブカフェの運営のほか、人材の育成面でも農業者それぞれの発展段階に応じた様々な研修を企画・実施する。
 「人材育成支援事業」では、国の青年就農給付金等を活用誌、新規就農者への支援を行う「新規就農者支援事業」のほか、認定農業者へのアドバイザー派遣による法人化支援、専門家派遣による法人化支援などを行う。

○畜産・酪農収益力強化事業費【2931万円】
 府内産牛肉の高品質化と飼料コストの低減を図り、畜産・酪農経営の収益力を強化する。同事業内に措置した「稲WCS増産事業費」では、稲WCS生産・調整用の機械を導入する農家を支援する。

◆有害鳥獣被害半減総合対策事業費【4億9440万円】
 メスジカの捕獲強化やサルの悪質個体の捕獲強化を進めるとともに、捕獲の担い手育成、地域ぐるみの防除対策等を実施する。
 有害鳥獣の生息数半減に向けては「メスジカ捕獲強化事業」により捕獲補助単価を5000円に増額するとともに、捕獲頭数の上限を20頭に拡大させる。また、隣接府県との広域捕獲や個体処分など、捕獲に対する支援を進めるとともに、指定管理鳥獣捕獲等事業を推進する。
 被害の半減に向けては、「ニホンザル加害群れ半減緊急対策事業」を措置し、加害レベルの高い群れについては市町村の個体数調整を支援する一方、悪質個体については捕獲を強化し、生活被害の減少を目指す。また、防護柵の設置やバッファーゾーンの整備等による防除対策を強化する。
 そのほか、担い手確保に向けた勧誘活動、捕獲班員の短期育成研修等を支援する。

◆京の輝き・こだわり京都米づくり応援事業費【4452万円】
 酒米等をはじめとした特色ある京都米の産地づくりおよび1等米の比率向上など消費者を意識した良食味米づくりを支援する。「京の米産地力強化事業」では、「京の輝き」等需要に応じた酒米・特別栽培米や1等米生産の効率化・低コスト化に取り組む農業法人等の機械導入を支援する。
 また、「京都米『特A』獲得推進事業」では、食味ランキング「特A」の獲得に向けた米の産地拡大の取り組みを支援する。

◆宇治茶ブランド力強化事業費【200万円】
 宇治茶の品質を保証する「プレミアム宇治茶認証制度」新たに創設するとともに、消費者目線で味が分かりやすい「お茶の味再現チャート」を作成することで宇治茶のさらなる消費拡大を図る。

※お茶の味再現チャート=商品の特長を、煎茶は香りと味、玉露は香りとうま味等といった2軸で視覚的に表現したもの。

 
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