特集 農家組合員(農業者)の意向把握へ

組合員主体のJA運営を 自己改革へトップが巡回

 JA京都中央会は10月7日〜31日、府内12会場で「農家組合員(農業者)の意向を把握する会」を開催した。JA京都中央会の中川会長が直接出向き、購買・販売等の経済事業を中心に、作目・地域ごとに事業や運営について農家組合員(農業者)の意見を聞き取り、意向を把握した=主な意見等は下記に掲載。

農家組合員と直接意見を交換
▲農家組合員と直接意見を交換

 現在、政府主導の農協改革が進められているが、JAグループ京都は協同組合の原点に立ちかえり「組合員主体」のJA改革に取り組むことが最も重要と考えている。その実現に向け、農家の意向を把握することを目的に実施したこの会は全国で初めて取り組んでいる。

 7日に南丹市のJA京都酪農センターで行われた第1回目の意向を把握する会では、「全農の株式会社化でどうして農家の所得が増加するのかわからない」「安全・安心な肥料を使うことが消費者の信頼につながっている」など生産現場からの率直な意見が多数挙がった。中川会長は「政府の提示する改革は地域の実情を全く無視したものである。JAグループ京都は現場の意見を積み上げ、自らの組織運営に反映させることはもちろん、地域の現状と求められる対策をしっかりと国に伝えていく」と力強く返答した。

 JA改革をめぐっては、JAグループ京都は「改革は自ら進めるべきもの」として一貫して独自の自己改革を進めてきた。准組合員が総代会に出席して意見を述べる「准組合員総代」の制度を設けたのもその一環で、今年度から府内全JAで准組合員総代が総代会に出席している。全国のJAグループに先駆けた本府独自の取り組みで、准組合員のJA運営への参加を明確に位置づけ、JAとともに地域を支える姿を目指す。

 JAグループ京都は今後も、JAの主権者たる農家組合員(農業者)の意向を十分に把握し、JA運営に反映していくとともに、JA改革をはじめ国で議論されている農政の動向を引き続き注視し、積み上げた意見・意向を基に国や行政への要請活動を行っていくこととしている。

「農家組合員の意向を把握する会」の実施状況と主な意見は次のとおり
(10月20日時点、要約・抜粋)。

◆概 要
◇府内酪農家(10月7日開催、JA京都酪農センター、30人参加)

○JAとともにWCS(飼料用稲)に取り組み、飼料コストが低減できている。
今後はWCSをさらに増やし、所得が上がるよう作業料を引き下げて欲しい。
○JAが販売事業で得た利益で様々な対策を打ってくれるので生産基盤を維持できている。
飼料についても、JAの価格は適正なうえ、メーカーからの技術 ・経営指導も受けることができている。
○生乳をまとめて販売する「生乳販連」は無くしてはいけない。
小規模の酪農家でメーカーとの価格交渉はできない。また、各地域に堆肥センターは必要だ。
○生乳についても牛肉や豚肉のように価格安定制度を確立するよう、国に働きかけて欲しい。
生産維持のためにも確立を強く求める。
○後継者がいないために廃業する者に、経営を継承してくれる人材を紹介する仕組みをJAや行政で構築して欲しい。
○全農の株式会社化によって、なぜ農家所得が向上するのかわからない。
むしろ利益追求することで農家の所得は下がってしまうのではないか。
○韓国産の安い肥料に我々は手を出してよいのか。
安心・安全な肥料・農薬を使って栽培することが消費者の信頼につながる。

◇JA京都にのくに管内野菜農家(10月13日開催、綾部市林業センター、30人参加)

○JAは必要な存在であるからこそ改革を進め、「攻める」JAになってほしい。
○全農は農産物をプール計算で精算するため、市場のセリ価格の違いが反映されていない。
高品質のものは高い値段で精算して欲しい。
○資材価格が高い。
肥料・農薬価格は量販店と同水準でないと、大型農家がJAから仕入れるのは難しい。
○小規模農家向けに肥料・農薬の小ロットでの販売をして欲しい。
○営農指導員の数を増やし、より営農指導に力を入れて欲しい。
○有害鳥獣被害対策への補助金について、国や市町村にJAから要望してほしい。
また、JAからの融資など助成してほしい。
○JAの地区をまたいだ直売所の出店を検討して欲しい。
○組合員の意見・要望を踏まえ改革を進めて欲しい。

◇府内農業生産法人の経営者等(10月14日開催、JA京都酪農センター、23人参加)

○JAは本来、組合員一人ひとりが出資して自分たちのために作った組織。
どうして農業もしたことがない与党や国の役人に好き放題にされなければならないのか。おかしい。
○地域の農業法人はコミュニティを守っている。
競争の原理だけで割り切れるものではないので、JAとともに地域を守っていくために取り組めるような体制を作って欲しい。
○JAの価格が高いという認識はない。
むしろ商品の情報が組合員に素早く伝わるよう、今後はITをもっと活用するべきである。
○JAの金融事業は絶対に必要だ。
そしてJAは我々の身になって扱ってくれる金融機関であるべきである。
○6次化すると結局農地の管理や生産の面が希薄になってくる。
全農・信連がそれぞれ役割を発揮し、もっと前面に出て取り組んで欲しい。そうすることで我々が安心して生産に取り組むことができる。
○専業農家ばかりでなく、土日兼業農家でできる農業を確立し、地域農業を守っていくことが大事である。また、新規就農者だけでなく後継者への支援も大事だ。
○定年後に地域に戻ってきた者は農業の経験がないため、担い手となりえない。
農機具や営農計画など様々なことについてJAのフォローやアドバイスをいただきたい。
○急傾斜地の草刈はほとんどが人力で大変。良い機械の開発に取り組んで欲しい。
○JAと提携できる事業として、旅行業務と絡めて民泊の斡旋などを検討して欲しい。
○中央会や連合会が何をしているのか見えない。活動が見えるようにして欲しい。
○農機具について、修理を早くするなど購入後のフォローをしっかりして欲しい。
○後継者不足が著しい。田舎で農業をしたい若い人を探してもらいたい。
○きめ細かい営農指導をしてくれるTACには感謝している。
ライスセンターやカントリーエレベーター等の利用手数料を引き下げて欲しい。
○農地を預かっているが、助成金・補助金がなければ経営が成り立たない。
国は農地を集約すれば勝手に儲かるように言っているが、それは嘘だ。
○JAと量販店の価格の違いが商品のどのような点にあるのかを伝えてもらいたい。
○大型農機のメンテナンスの迅速化を図って欲しい。
○猟友会には期待できないので、有害鳥獣の問題をJAでしっかり取り組んで欲しい。
○ 30年産米から米の補助金が廃止されたら経営が成り立たないのでJAから国に言って欲しい。

◇府内畜産農家(10月15日開催、JA全農京都北部物流センター、19人参加)

○若手が安心して畜産経営に取り組めるようにならないといけない。
国が言う急な変革は地域では受け入れられない。
○WCSや飼料作物に係る助成措置は何がなんでも現状を維持して欲しい。
○農業共済の家畜共済では、牛が流産した時の見舞金が7万円であるが、農家が努力をしていても防げない場合には見舞金を上げてほしい。
○畜産農家の一番の課題は後継者問題である。
牛舎や牛、機械の導入にも多額の資金が必要なため、JAからの補助金等の対応を拡充して欲しい。
○全農専務の発言で、手数料が職員の給料の糧であることは間違いないが末端のことは考えていないのか。また、資材の価格が韓国の2〜3倍するというのは言語道断である。
○シカが増えている。資材を売るのではなく、積極的に駆除をしていかなくてはいけない。
資材には補助金が出るが、毎年設置や撤去などの余計な手間がかかっている。
○牛の世話ができるような職員の育成をして欲しい。また、子牛を出荷する時のトラックをJAで準備して欲しい。
○国の施策では個人経営は補助金の対象とならない。小規模農家が長く続けられるようにしないと日本の農業がだめになる。
○職員の異動が多く、困ることがある。連絡してもすぐ対応してくれない場合もある。

◇JA京都〈南部地域〉管内野菜農家(10月16日開催、JA京都本店、33人参加)

○小規模・家族経営の農業では販売や生産資材の価格交渉などはできないので、JAの事業は絶対に必要だ。政府・与党の言うような改革はせず、今の形を崩さないでほしい。
○小規模農家が集まり、協力して行う農業も立派な農業のあり方だということを国に伝えて欲しい。
○JA組織の大規模化が進んでいるが、組合員にとっての合併メリットがあまり見えていないので、メリットを出してほしい。
○規格外の農産物を集めて出荷できる場所を作ってほしい。
○支店にもう少し権限を持たせて欲しい。地元で色々なことをできるようにすることが必要ではないか。
○農産物の出荷に苦労しているので、JAが農家を回って集荷することをして欲しい。
○全農には仕入れや販売に力を入れて欲しい。

 
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