自主調査の進捗状況
株式会社京山への中国産米にかかる調査の中間報告について【第5弾】
JA京都中央会は、(株)京山からの依頼に基づき、平成29年2月16日(木)より立ち入り調査を実施しております。
本日は、監査士12名、事務スタッフ34名の合計46名で調査を実施いたしました。
雑誌に記載のあった新潟産こしひかり、魚沼産こしひかり、京都丹後こしひかり、滋賀こしひかりについては、先行して仕入、売上を確認しています。
今後は、他の品目全てについて仕入と販売の実態の調査に入ります。
また、SBS輸入米における中国産の輸入量実績を調べたところ、農林水産省のホームページによると下表のとおりで、SBS米における中国産の「精米短粒種」および「玄米短粒種」は2012年と2016年にのみ輸入されております。
(株)京山が2012年に仕入れた中国産米は全て「中国産米」として販売されており、在庫はありませんでした。
2016年12月16日に輸入された中国産米は、大半を落札した業者が、最短で2017年2月23日に受け入れることとなっております。
よって、現在中国産の短粒種が混入することはあり得ません。
なお、現在中国政府に対し、「日本へ輸出した短粒種はあるか」問い合わせを行っております。
加えて、安定同位体比分析による中国産米と日本産米の産地判別の困難性についての記述がある書籍がありましたので、その内容を公開いたします。
当グループにおきましては、引き続き調査の進捗状況など随時アップして参りますのでよろしくお願いいたします。
(単位:トン)
年度 | 和暦 | 回 | 入札日 | 精米短粒種 | 精米中粒種 | 玄米短粒種 | 玄米中粒種 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2012 | 24 | 第1回 | H24.9.25 | 12,016 | 40 | 12,056 | ||
2012 | 24 | 第2回 | H24.11.6 | 2,800 | 2,800 | |||
2012 | 24 | 第3回 | H24.12.18 | 11,824 | 11,824 | |||
2012 | 24 | 第4回 | H25.2.20 | 960 | 960 | |||
24年度合計 | 27,600 | 0 | 0 | 40 | 27,640 | |||
2013 | 25 | 第1回 | H25.9.25 | 94 | 94 | |||
2013 | 25 | 第2回 | H25.10.22 | 40 | 40 | |||
2013 | 25 | 第4回 | H26.1.15 | 40 | 40 | |||
25年度合計 | 0 | 0 | 0 | 174 | 174 | |||
2014 | 26 | 第4回 | H26.12.18 | 40 | 40 | |||
2014 | 26 | 第5回 | H27.1.14 | 40 | 40 | |||
26年度合計 | 0 | 0 | 0 | 80 | 80 | |||
2015 | 27 | 第3回 | H27.11.18 | 40 | 40 | |||
2015 | 27 | 第6回 | H28.1.29 | 36 | 36 | |||
27年度合計 | 0 | 36 | 0 | 40 | 76 | |||
2016 | 28 | 第1回 | H28.9.7 | 36 | 36 | |||
2016 | 28 | 第2回 | H28.12.16 | 500 | 100 | 600 | ||
2016 | 28 | 第3回 | H29.1.11 | 240 | 600 | 840 | ||
2016 | 28 | 第4回 | H29.1.25 | 240 | 100 | 340 | ||
2016 | 28 | 第5回 | H29.2.8 | 100 | 100 | |||
28年度合計 | 1,080 | 0 | 800 | 36 | 1,916 |
安定同位体比分析による農産物の産地判別について
東京電機大学出版局発刊の『食品表示を裏づける分析技術―科学の目で偽装を見破る―』によると、豪州産、米国産、中国産、台湾産および日本産の5つの米のC・O同位体比を分析すれば、豪州産および米国産は日本産と明らかに違う一方、中国産、台湾産は日本産に大変よく似ている、と記述されている。
したがって、安定同位体比分析のみで日本産と中国産の米の産地を判別することは非常に難しいといわれております。
概 略
生物の体を構成する基本元素には炭素(C)、窒素(N)、水素(H)および酸素(O)があります。これらの元素には、各々質量数が異なる同位体(13C/12C、15N/14N、2H/1H、18O/16O)が存在しています。
これらの同位体は自然界では各元素で一定の割合で存在し、その比は安定同位体比と呼ばれています。しかし、生物の体の中の安定同位体比は、その生物が育った環境や摂取した食物の安定同位体比を反映して僅かに変化し、同一生物でも生育環境を反映した値を示します。
そこで、食品については、安定同位体比を、その生物が生息した環境を判別するための指標として用い、産地情報判別や原材料判別などに応用しています。