JAグループ京都は6月、中国・北京の宋慶齢故居で「日中食文化交流事業」を開催し、日中両国の政府関係者や府内JAおよびJA女性部、中央会・各連合会などから関係者約340人が参加した。
 JAグループ京都では、農業者の所得向上と京野菜の生産振興に向け、平成元年から京野菜のブランド化事業に取り組んできた。一昨年からは、将来的な輸出も見据え、京野菜のブランド価値を世界的に高めるべく「京野菜の世界ブランド化レセプション事業」にも取り組んでいる。
 JA京都中央会の中川泰宏会長は同事業への着手にあたり、「京野菜のブランド価値を世界的に高めるには『世界三大料理』と称されるフランス料理、トルコ料理、中華料理の発祥国で京野菜が認められることが必要」と判断。一昨年にはフランス・ベルサイユ宮殿、昨年はトルコ・トプカプ宮殿に京都府産農畜産物を持ち込み、晩餐会を開催した。
 「日中食文化交流」をテーマに開催した今回の晩餐会では、日中両国の有名料理人が腕をふるい、九条ねぎや京こかぶなど7品目のブランド京野菜を使用した料理を提供。京野菜の魅力を強力にPRした。
 日本からは京料理「たん熊・北店」の栗栖正博氏と京懐石「美濃吉・竹茂楼」の佐竹洋治氏が料理を担当した。参加者からは「どうして『万願寺甘とう』は辛くないのか」、「京野菜はどれもアクが無く、繊細な味わいだ」など、絶賛の声が上がり、晩餐会は大盛況のうちに閉幕した。
 現在、TPP交渉や天災被害の増加、JA改革など農業を取り巻く状況の変化は激しさを増している。このような中、JAグループ京都は今後も国内外に向けた京都府産農畜産物のPR活動を強力に展開し、京野菜および京都府産農畜産物のブランド価値向上を通じた農家所得の向上に組織を挙げて取り組んでいく。
 中川会長は「『世界三大料理』の発祥国に京野菜を持ち込み、一定の評価を得ることには成功した。今後、京野菜のブランド力をさらに強化し、輸出に向けて取り組みをすすめる」と力強く語った。


賑わう晩餐会の様子


 

「日中食文化交流事業」の概要は次のとおり。


◆和と中の食文化交流晩餐会 in 宋慶齢故居

 中国・北京の宋慶齢故居にて京野菜を使用した晩餐会を開催し、約340人が参加した。
 宋慶齢故居は清朝末期の指導者、孫文の妻・宋慶齢名誉国家主席が晩年を過ごした邸宅で、中国の文化遺産保護制度における国家級の文化遺産として「全国重点文物保護単位」に認定されている。
 今回の晩餐会では、日本からは飯島勲・中村芳夫両内閣官房参与、在中国日本国大使館の木寺昌人特命全権大使などをはじめ政府・農林水産省の幹部らが出席。中国からも宋慶齢基金会の斉鳴秋常務副主席と井頓泉副主席、中国国務院や農業部の幹部らが参加した。
 開会にあたってはJAグループ京都の中川泰宏会長が挨拶。「現在中国では、日本からの農産物の輸入は認められていないが、今回『文化交流』ということで特別に京野菜を持ちこませていただいた。農家が丹精込めて育てた本物の京野菜と和食文化を味わってほしい」と力強く語った。
 晩餐会のメニューを担当したのは日中両国の有名シェフたち。日本からは「たん熊・北店」の栗栖正博氏と美濃吉・竹茂楼の佐竹洋治氏、中国からは全聚徳5代目継承者・楊宗満氏と北京市京倫ホテルの宋虎臣料理長が腕をふるった。今回使用されたのは京こかぶ、万願寺甘とう、伏見とうがらし、賀茂なす、京山科なす、やまのいも、九条ねぎの全7種類。これらの食材で技術の粋を凝らした20種類の料理を提供した。
 本物の京野菜と和食文化に触れた中国の参加者からは「賀茂なすがとてもおいしい。食べ方や味付けも中国にはないもので、食文化の違いに驚いた」「中国にはたくさんの野菜があるが、京野菜の繊細な味わいや風味は素晴らしい」など感嘆の声があがり、京野菜の世界ブランド化と和食文化の普及へ大きく踏み出す晩餐会となった。
 参加した生産農家は「手塩にかけて育ててきた京野菜が高く評価されているところを目の当たりにすることができた。自分たちの作ったものが世界にも通じるという自信と誇りを持ち、今後もさらに生産に励んでいきたい」と意欲をみせた。


中川会長を囲む中国の参加者



メニューを紹介する栗栖シェフ(左)
と 佐竹シェフ(右)


◆JA女性部と中国の女性消費者との交流会

 晩餐会に先立ち、中国・北京の宋慶齢故居内で開催した。府内JA女性部員と中国の女性消費者との文化交流を目的に開催し、日中両国合わせて約120人が参加し、楽しく交流を行った。
 交流会では、日本の文化として宇治茶の試飲体験や着物の着付け体験、お手玉体験などを実施。ここでも宇治茶のおいしさは中国の女性たちを魅了していたほか、着物の着付け体験では、初めて着る和服姿に大喜びの姿が見られた。そのほか、中国からはコマ、太極拳の演舞、ギョウザなどの試食体験が実施された。


太極拳の演舞を体験する


◆宇治茶プロモの実施

 北京市内の京倫飯店(ジンルン・ホテル)とタイアップし、同ホテル内のレストランで宇治茶の提供やポスター掲示、リーフレットの配布などを行う宇治茶のプロモーションを実施した。
 中国は茶の一大産地であり、人口も多いことから、世界最大の茶の消費大国となっている。世界的にみると紅茶が主流となっている中、中国では日本と同様、緑茶やウーロン茶などの茶が主流。文化的にも、茶が日常生活に溶け込んでおり、生活の様々なシーンで茶が使われる。
 宇治茶の試飲に訪れた参加者たちの反応は上々で、話題性の高いイベントとなった。


宇治茶は中国人女性にも人気


◆中国農業部での講演の実施

 日本の農林水産省にあたる中国「農業部」からの依頼により、JAグループ京都の中川泰宏会長が農業部幹部職員に日本の農協制度についての講演を行った。
 中国農業部では、今日の日本農業の発展はJAグループの存在によるものと考えており日本の農協制度への関心は高い。講演で中川会長は「零細農家の相互扶助を目的として農業協同組合は設立され、組合員農家の規模の変化とそれに伴うニーズの変化が現在の各事業を形成していった」と説明。
 講演後、同部の参加者は「講演は大変参考になった。今後、中国でも日本の農協のような団体の育成に取り組んでいきたい」と声に力を込めた。


農協制度について講演する中川会長


◆今後の展望

 一昨年のフランス・ベルサイユ宮殿での晩餐会から始まった「京野菜世界ブランド化レセプション事業」。中川会長はこの3年間の取り組みを振り返って「京野菜は『世界三大料理』の発祥国でも十二分に受け入れられた。今後も継続してこの取り組みを進め、京野菜のブランド価値をさらに高めていくとともに、実際の輸出に向けては、政府に国家間のコンセンサスを取ってもらうことが必要となる。また、京野菜の魅力を伝えるには、現地で本当の和食を提供する料理人の存在が不可欠であるため、料理人の育成も重要だ」と話す。
 今後もJAグループ京都では、政府・行政などと連携した京野菜のブランド価値向上に全力で取り組んでいくこととしている。

 同事業の模様については「アイキャッチ」にも掲載。

 
 
 
 
■トップへもどる   ■バックナンバーにもどる   ■前のページへもどる   ■閉じる